「タイヤ・インフレーター」

‘58年発売のセル付き250ccツインC71型のオプション部品で開始したエアーポンプです。
125ccの基本車ベンリイC90/92や前述ドリームC71には車体左側にこれを取り付ける前後ブラケットと盗難防止のセッティングキーがこれもオプション設定されていました。前後のブラケットはシートブラケットと左リヤサスブラケットカバーのネジに共締めする方法です。またキーは前ブラケットにひねって取り付けるロック部品から抜くだけで施錠、差し込むと解錠ができるスグレもので管理人はこの機構の同一用例を知りません。

ことCB92に於きましてはフュエルタンク右下にこれらのブラケットが装備されておりポンプはそのまま装着できました。C90/92ではオプションだったこのポンプがスーパースポーツのCB92は‘59年式の910217番から標準装備とされたことが‘607月版英文パーツリストの記載からわかりました。 先に取り上げたタンクバッジの項目で「極初期、アルミ製タンクの当時、トランスファー(水貼り)からプラ製バッジにマークが変更になった。」ことを記述しましたがどうもその時期にタンク右下にこのエアーポンプの取り付け装備が施されたようです。そしてそれ以前、最初期のスーパースポーツにはタンクにその装備がないため取り付けようもなかったと思われます。29頁『インタンクブリーザー』上段右画像バージョンBを参照ください。 

簡単に脱落してしまう為か残存は少ないですがポンプの差込み口金部位には標準で泥入り防止のプラスチックキャップが付いていたようです。添付画像でも見ていただきますが後年(2021)まとめました30頁の『'60年後期式』の車体右側面画像でも確認ください。

使用に当たってはタイヤのエア補充口にこの差込口金部を押し当てつつポンピングせねばならずウンと難しいこの方式は輸出先の欧米人には不評で『サイクリング自転車用で一般的な着脱ホース付きのポンプに替えて出した。』との説もあります。しかし当方はこのポンプを入手してみてまた後年(2023)に昭和42年(19661月版の最終C70/71系パーツリストを見て判明しました。基本車両生産後のパーツ代替品として設定されたU72-B005型で輸出向け限定とかではないようです。ブラケットへの装着はできます。しかし盗難防止のセッティングキーは合わず使用できません。これも画像を添付しましたので参照ください。

基本型、部品番号C71892189400-153-000)の筺体には当初『2種類確認でき先端の口金アルミ型にスイカ状のスジがうねになって有るものとそれのないものがあります。』とお伝えしておりました。しかしこの両者にグリップの握り部分に滑り防止の三本筋のあるものが初期に存在。最後期と思われる筐体で差込口金部々品の緩み防止用M2X3.5の所謂イモねじがノズル部に二個装備されているものなど計5種も出てきてしまいました。59年後半に市場導入されたCB92にポンプが装着されだした時にこのグリップの握り部もノズル部も平滑で添付画像中C以後だと思っています。CB92のパーツリストにはC71のそれから持ってきたスイカ型ノズルの画像が使用されていますがそのポンプの総生産中極初期‘58年のみの特徴ではないかと思われるからです。





今日でも自転車用空気入れのブランドで見るAPOLLOの表示が口金のアルミ鋳型に見られます。しかし管理人はこのアポロポンプの製造会社名を永いこと知りませんでした。しかし最近それは後に流し台のサンウェーブ工業を吸収し社名をそちらにして、つい先年LIXILグループとなった元中外精工(アポロ工業に社名変更)であったことが判明しました。どちらかと言うとレーシーさを無くしツーリング車の色を濃くするエアーポンプですがこれがないとCB92の右画像では何も付けられていないタンク下のブラケットが寂しく、厳密にはその装着で車重を増し、ひいてはスポーツ性能を落としている(?)ポンプでも人気は高いです。昨今はその心許無い性能に比べて異常とも言える五桁の金額で取引されています。

今回も多くのメンバーさんの資料や現品、画像やアドバイスご協力で追加情報のまとめができました。
まだまだよろしくお願い致します。


2005.07.03K
2017.02.24 タイトル修正
2018.01.06 一部加筆訂正。「製造会社名」
2023.02.01 文章加筆修正、画像追加「バージョン追加、代替品、キャップ、キー情報」


次回は『Rフレームダストシールド』


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