『前後チェーンスプロケット』


 車両の走行性能に及ぶ重要な課題ながら実機、実パーツサンプルが少なく題材タイトルを告知していながら調査検証がほとんど進みませんでした。また自身で購入、実走行してみる機会がほぼなく数値的な報告に終始します。

50ccスーパーカブ系の420チェーンと同一の1/2インチピッチながらリンク幅が1/4に対し5/16インチと伝達容量の高い428チェーンを当時の125ccクラスは使用しています。

250ccドリーム系になるとやはり相応の二クラス上の530チェーンを使用しています。

扨て、このピッチ12.7mm、リンク幅7.95mm428チェーン用としてスタンダードの他ロードレース、ドラッグ、スクランブルのダートレース用として前ドライブ用は14,15Tの二種ですが後ろドリブン用には最終的に38から48Tまで3941Tを除くなんと9種もの歯数のスプロケットを用意していました。鉄製の6種に前後期があり、43Tから上の奇数の歯数3種を追加、そのうち7種のレース用にアルミ製を加え都合22種類ものバージョンが存在します。足掛け6年、実質5年の販売期間中CB92がレースシーンで活躍する機会はごく初期を除いてかなり尻すぼみだったと思われるのですがここに国産初のスーパースポーツ車にかけるホンダの意気込みが垣間見られる思いがします。

ここから年代の順を追って説明いたします。

先ず@の昭和34(1959)4月ホンダ発表資料の「Y部品用途」表を参照ください。

ここでCB92には42Tのリヤがスタンダード用として設定、38,40,44,46,48Tの5種がレース用オプション(Y部品)として設定されています。43,45,47Tの奇数歯は設定がまだありません。

次にAの昭和34(1959)6月版パーツリストの抜粋を見ていただきます。

これには当時のリストにない1966年以後の新部品番号も太字で加えてみました。

まだ発表発売前か150ccCB95に関しての言及が無いパーツリスト全体で唯一38Tのスプロケットだけがその標準部品としての番号で掲載されています。

しかしこのスプロケットはCB92用スタンダードの42T共々すぐさまそれぞれ40T,44Tの増歯と入れ替えられています。どのような部品管理がなされたかわかりませんが部番を残したまま歯数の入れ替えです。恐らくCB92,95とも初期設定が高速側に過ぎたのでしょう。

そのことがなぜか発行年の表示のない恐らく昭和34年末の発行と思われるB初期和文取扱説明書ではCB92が「15T-42T」と元のままでCB95用は先に変更され「15T-40T」の減速型で示されています。それに続きCB92についてはCの1960年版英文ワークショップマニュアルでギヤレシオが「2.93」との記載がありこの時点で15T-44Tの減速型になっていることがわかります。

この後642月版の英文パーツリストのレーシングキットのページでは43,45,47Tの歯数のY部品が増えまた鉄スプロケットの他にS1表記のアルミ製が40,44Tのスタンダードを除いて7種のもので併載されています。これに関してはわかりやすい新旧部品番号併記になっている661115日付け英文版パーツリストの同ページDを添付し、中に鉄製の40,44T情報を当方が書き加えました。

アルミ製はレーシングユースとして価値ある軽量部品ですが損耗も早いでしょうからかなりコストレシオの悪い消耗部品だったでしょう。

いつの時代に供給され使われていたでしょうか。経験のある先輩メンバーにお聞きしたいものです。

                                                   サンプルスプロケット画像提供:ベンスパ男さん、Tスペシャルさん
E、FとGにメンバーの持っているスプロケットの画像を載せました。42,40,44,48Tなどの初期型は実に手の込んだ肉抜き加工が施されています。あまりに生産の費用効率が悪かったでしょう。ほどなくフランジディスク部に単純な肉抜き穴加工を施したものに変わります。またアルミスプロケットの画像も載せました。3845Tは未開封で恐れ多くそのまま袋入りの画像となりました。部品番号タブ末尾の811816の番号を確認ください。重量の実計測ができませんでしたが42Tの軽さを小指で支えた画像で想像してください。
小指出演Papaさん

42Tに関してはこのサンプル中に3バージョンすべてありますからいつか重量の比較測定をして案内差し上げたいと思います。(2020.12.19:重量値追記

ドライブ3種と9種のドリブンスプロケットの比率一覧Hを参照ください。16TのドライブスプロケットはCB92,95用として当時存在しませんが後年のCB93,96用が使用できます。参考までに書き加えました。

管理人自身は14,15Tのドライブの他僅か二種40,44Tのドリブンスプロケットの使用経験があるだけです。

そのわずかの経験では150ccのエンジンにした状態で余るパワー、トルクがトップギヤでも44Tでは頭打ち感が強く40Tで漸くストレスなく走れるようになりました。

その他の大半のY部品スプロケットに関してはそれらをロードレース、ダートレースで使用された経験のある先輩メンバーさんからの投稿をお願いいたします。

2019.12.20K 
2020.12.19 「DからGの図表、画像中に重量データを入れました。」


次回は『タンクブリーザーの変遷』


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