『フロント フェンダー』


く知られている燃料タンクや左右サイドカバーそれにリヤサスペンションブラケットカバーとともに初期型にはアルミ合金製のフロントフェンダーCB925701が奢られていました。まさにレーシング仕様です。早々にスチール製に変更になって行ったタンクやサイドカバーと違い幾分後までアルミフェンダーは継続します。幅は80mm81mmほどだったようです。

両縁に鉄筋を巻きこんだロール成型のフェンダー本体部分の前後と中央の三箇所を12mm径肉厚アルミパイプに巧みな曲げ加工を施したステーで支えています。フェンダー部、ステー部とも丁寧なアルマイト加工がされていました。

しかし町乗り用車輌のフロントフェンダーとしては華奢でしたため駐輪場所でここを掴んでの車体の向き変えも難しいほど弱いです。また先端は繊細で軽い衝撃で曲がったり痛んだりしたものが多かったようで当時の画像や残存部品に先端部をその箇所のステーともに切除したものがよく見られます。

その初期、後ろ側ステーの右側に溶接装備されていたスピードメーターケーブル保持用のループはケーブル保護の目的で内側が突部曲面になった半切り板状でした。
(@)

強度的に弱かったかもしれません。程なく6m径の丸パイプ溶接に替わります。A)
やがて生産コストの合理性と強度アップをもくろみ全体をスチール製としたものに替わり三箇所の丸パイプステーも『への字』断面のスチール、プレスものになります。(B)

62年式の中期に変更になったと思われます。昨今の出版物中に『アルミ本体+スチールステー』のものが存在したようにありますが管理人は今日までこれを確認したことはありません。スチールフェンダーの重量はアルミ合金のフロントフェンダーの0.5kgに対して何と倍以上重い1.2kgもあります。初期型のスパルタンな味わいは薄れていきます。

この際もこれまで同様中央のステーは前後のステーと同じ太さで取り付け方法も左右夫々一本ずつのM8ボルトで同じように固定される方式のままでした。これまでは素材が変更されても同一部品番号で扱われたようです。前後左右のよじれに対してそもそも弱かったかこの中央部のステーの折れたものを屡々目にします。


これはこの上部取り付け部面積を拡大してリベット数を三本から五本に、ステー部太さ、幅を22mm超に広げてまたドラム左右のパネルトルクボルトと共締めするよう左右二箇所の止め穴の付いた今日最も一般的な形状のものに取って代わられます。
(C)


『これによって前軸、前輪のスタビライザー効果を増した。』と後年の出版物記事中に見られますが仮にそうだとしてこれは筐体の強度アップの二次的な結果と思われます。ドラムパネルのトルクボルトが63年式中に部番が変わっています。共締めの目的で延長ボルトとする必要があり、これを使用する以後の二穴中央ステーのスチールフェンダーがCB925701Aと設変番号で扱われたと推測されます。









これにて二種ずつのアルミ、スチール製で終わりかと思いきやスチールフェンダーにはもう一種あることが確認されています。

幅がスチール製の基本形でおよそ86mmあるところ2.50タイヤ太さぎりぎりの75mmと狭くまた装着半径が小さくタイヤとの密着の良い実にレーシング風情のあるものです。(D)
これが車輌の現役時の64年までの生産機に装備されたものか或いはアフターセールスパーツのみのものか後期車体の画像資料が少なくまたパーツリスト記載も粗いため今日まで判然としません。

 









尚、初期から最後期を除いてフェンダーの中央上部後方に幅を狭めた個所があります。
これはブレーキパネル、ホイールパネルに装着されたままホイールと一緒にフォークから外せるようトルクリンクの装着部をかわす目的でした。英文の125サービスマニュアル中の記載に見つけることができます。(E)













画像車両提供:@kazubo先輩AShiroさんBMiyojiさんCOkaさんDSugiさん



今回はできる限りの正しいサンプル画像の入手に努め、そのため掲載が遅れました。より好ましいサンプル画像や他の変種がありました場合メンバー諸兄からの投稿をお待ちします。


















2014.06.28 K生
2017.02.24 一部訂正


次回は『リヤサスペンションバーブラケットカバー


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