CB92のリターンシフトリンク』 

CB92はその4速リターンシフトに変化が無いのに生産中期62年半ばにシフトペダルリンケージの接続向きがそれまでの上側からペダルと並行になるよう下向きに変わります。CB92オーナーの方々の中にも気にされていながらその理由をご存じない方がいらっしゃいます。バイクなど只々まっすぐに走れば良いのですがここはマニア(偏執狂)の真骨頂、くだらないことを掘り下げてみましょう。 

58年のC90と同150ccセル付きC95、それから59年に入り125ccセル付きのC92も当時実用車としてそのトップ四速から前二蹴りで一速ローに戻せるロータリーシフトは実に受け入れられています。シフトのドラム溝は二つのシフトフォークでシャフトとスプライン摺動関係にあるメインシャフトサードギヤとカウンタシャフトセカンドギヤをドラムの回転に応じて夫々のシャフト上を巧みに左右に動かし4段変速を可能にしています。
 ここで本格的スポーツ車として開発、市場へ出すCB92には基本パターンがC系と同じシフトドラムのニュートラルを一、二速間に設けシフトストップ型と改造しています。バックステップにオフセットしたペダルからそれを一速以後四速まで掻き上げで使用できるよう前側リンク、チェンジレバーアームを上側に接続逆転させてリターンシフトパターンを確保しています。実に合理的な設計です。欧州車などに類例があったのでしょうか?

添付画像を参照ください。メンバーの59年型赤車体に装備のシフトリンクは各所にサークリップ(C型留め輪)が使用されている大変珍しいものです。またクラッチリフタースレッドのグリスニップルも上向きのチェンジレバーアームにその場所をとられて居場所を失っています。

                                  画像車両:SQ4さん                                画像車両:Tecoさん
一方同年頃からホンダアメリカを作りロータリー式のベンリイ、ホンダ150やドリームを米市場に積極的に持ち込みますが彼の地で相当に飛ばすユーザーが前踏み込みでトップの後にニュートラルを跳び越してローに入ってしまった場合の苦情と剣幕は凄かったと思われます。早々に対応すべくCB92用と違ってペダル直結でもリターンシフトパターンとなる、回転方向で示すと上下逆像となる新シフトドラムCA型を設計して導入します。
  

そもそも量産車は常に生産の合理性を追求せねばなりません。対米輸出用とスポーツ車用に二種類のリタンシフトドラムを揃えておく必要は無く62年の中ほどにスーパースポーツは対米CA型のシフトドラムが使われだしてこのときにシフトリンク向きが変わります。

 当方個人的には後期のシフトリンク周りのスマートさが好きです。しかしまたそれ以前の逆接リンクはプリミティブなイメージが車両のホットさを示すようで捨てがたく魅力的でもあります。 

対米CA92/95型用リタンシフトドラムの設定は62年より前のいつごろだったのでしょうか?・・この点資料をお持ちのメンバーさんいらしたらご教示ください。
当方手持ちの63年版CAパーツリストに詳述が無く判然としません

2010.01.02 K 『2016.09.16 添付図差替』
次回は『ナーサリーホテルとホンダ』


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