『リヤーサスペンションバーブラケットカバー』
タンク、フロントフェンダーや左右サイドカバーの初期型の軽量アルミ製パーツはイメージとしてCRに近いCB92の初期型の特徴であり中後期型のオーナーにも『手に入れたい、換装したい』と憧れさせる魅力があります。
以上の三品目の他にかなり後期まで使用されていたアルミパーツに表題のリヤーサスペンションバーブラケットカバーがあります。64年式を所有の先輩が『オリジナル装備でスチール製だった。』と言いますので63年式くらいまではアルミ製だと思われます。
ホンダは基本車ドリームC70やベンリイC90あるいはSA やJCにストレススキン(応力外皮機構)のプレスバックボーンフレームを当時の西ドイツ製NSUに範を取り設計、生産販売をします。リヤサスペンション上部のこの個所も方式を倣いアルミキャスト製の荷台支持用のラゲッジキャリアサポートメタルを取り入れます。
C70型のごく初期用を除きそれより前後長を伸ばした側面からのデザインも意識した、凝って奢ったつくりのものでした。
後年はまた合理的にリヤのウインカーベースも包括した長さのものになります。
画像車両提供:C95=Iidaくん、CW92=Papaさん
一方そこからの派生スーパースポーツのCB92は当然ハーフチェンケース、コイルを露出させたスポーティなリヤサスにして荷台もありませんのでこのサポートメタルも除去されます。これが有りませんとフレームのこの部分に溶接のサスペンションバーブラケットがむき出しになります。いくらスーパースポーツと言え無骨なブラケットむき出しでは何とも形が決まりませんので軽量なアルミ板プレスのリヤーサスペンションバーブラケットカバーが装着されます。本当に軽い部品で59年のアサマを走ったレーサーからも取り外されていません。出走車の当時の画像にはほぼ皆装着されたままです。
当方がレストア用車体を入手した当時はホンダからスムースにスペアパーツが供給されており綺麗な新品を楽に入手。くすんでいた既存品はゴミに出しました。数年使用した後に表面に茶色の錆が出てきたので磁石を付けると貼りつくではありませんか。なんとアルミ製を捨ててシルバー塗装のスチール製に替えてしまっていたのです。ずいぶん後年になって決して安くない金額で再度アルミ製に戻しました。
二品を比べると何故かプレスの深さが違いスチール製の方が厚めです。また初期のアルミは後期スチール製のなんと半分の軽さ!一個60gに対して30gでした。
しかし今我々が街乗りで走るためには自身の体重管理、減量をした方がよさそうです。
今回多くがC92系の題材となりましたが設計の背景を追うと兄弟車、基本車の生い立ちは避けられません。荷物を積んで良く働いてくれた尊敬すべき兄車です。
2015.10.23 K生
次回は『ホイールハブ(ブレーキドラム)』