ウイングマーク』

 

 前回のページで「初期型の特徴の詳細を追う」旨の案内を差し上げました。しかしその特徴は後に品質の向上や生産の合理性追及など色々な理由で変更されて行きます。単に車体の前から後ろへの先の番号順で検討を進めると脈絡がなくなりますので同じく前回のページで案内差し上げたハンドルホルダー、タンクマーク、右ヘッドカバーの三大特徴からとターゲットを絞ってスタートしましょう。

今回はそのうち最も目に付くタンクマークIを取り上げます。

 ‘55年頃のドリーム号から導入の始まった片羽根のホンダウイングマークは透過プラスチックを使って羽の立体感をアピールする凝ったつくりでした。‘58年の基本車C90ベンリイ125にも使われますがRC90譲りのレーシングタンクを装備するCB92には導入されず、軽量(?)な(水貼り)トランスファー式のウイングマークとSuper Sportの文字がアルミタンク前部に誇らしげに標されます。初期型がレーシングからの派生種であること、そしてそのスパルタンさが強調される魅力的なアピールでした。しかし貼付後クリアラッカーで保護されたと思われるマークも水貼りの悲しさ、先に取り上げたIoM(マン島)モデルでも早々と痛みが見られています。その後の多くの箇所の変更が生産の合理性を追った改造であったのと比べてこの箇所においては生産性を下げる手間の掛かった造作をしてプラスチックのタンクマークをねじ留めで受け入れる装備がなされます。アメリカンホンダを創り勇躍世界に自社を売り込まねばならないホンダにとって翔くべき羽根マークがかすれてしまうのはどうしても避けたかったと思われます。同時代のC90やC92と同じBenlyマークのプラスチックタンクバッジが装備されます。150CCのCB95は同じくC95のHondaマークのバッジを装備し夫々は後年Honda benly 125やHonda 150のマークに代わります。

トランスファーウイングマーク付きアルミタンクはパーツリストではキャップ付き右シリンダヘッドカバー(〜910208)より後の910216あたりまで使用されたように記載されていますが管理人はこれより遥かに少ないと考えています。車体番号はわかりませんが同年の浅間火山レースで活躍した北野元選手ほかの参加車もヘッドは古くともほぼすべてプラスチックタンクバッジが装備されています。トランスファーは100台以下ではないでしょうか? 

 初期トランスファーのSuper Sportの文字はゴシック体であったと思われます。添付画像を参照ください。後年のレストア車でその文字が筆記体デザインのものを見ます。正規生産時期のものでその書体が存在したのかご存知のかたご教示願います。

2004.07.18 K


次回は『ヘッドサイドカバーキャップ


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