『ヘッドサイドカバーキャップ』

 

 C90やC95を基本車にスーパースポーツを検討している頃、まだホンダのOHCツインは気筒別にデストリビューターで高電圧を分配しプラグ発火をさせていました。総合的にコイル性能を上げるなどしてスーパースポーツCB92では左右同時発火として右シリンダヘッドからデスビは除かれヘッド鋳型の共用やタコメーター用回転取出しを考慮してか、夫々はモディファイされた専用部品といえ初期CB92ではC90と基本設計の同じヘッド、幾分厚みの薄い同右カバー、同じ形状でプロファイルのみ違うカムシャフトなどが使用されます。取り除かれたデスビあとに初期型に特徴的なカバーキャップが旧デスビ用の板バネクランプでとめられます。導入までに実現できずとも、その車両の性格により自ずと市場から要求が来るであろうタコメーターのための回転取り出しの可能性をデスビ駆動用設計のカムシャフト端末に残して初期型は市場導入されたと思われます。

しかし同時期にセル化されて導入された基本車C92もその後すぐデスビが除かれて左右同時発火型に改良され、こちらはレーシングユースのタコメーター駆動など考慮の必要も無い為さっぱりと短いカムシャフトに変更されてデスビとそのベースのカバーの除かれたあとは同じくさっぱりとしたフィニングの右カバーで覆われます。もはやヘッド右に二本の高圧ケーブルが来る必要も無く後面鋳こみのケーブルループは除かれ、デスビ用の板バネクランプも使用されないためM6のねじ穴加工もヘッド右からなくなりました。結果、文字通り便利になったセルつき125実用車C92の増産増販に比べその派生種で生産数量も少ないスーパースポーツはタコメーター駆動法の検討など棚上げされて基本鋳型がC92と同じヘッド、ヘッドカバーに変更されカムシャフトも何らの駆動用突出部の無い形状になります。パーツリストに図示が無いためあまり知られていませんが基本車C92と同形状のこのヘッド装着車が存在し時期はパーツリストの記載を信じるとCB92Eでの番号910209以後60年式中期まで千台弱となります。米誌モーターサイクリングの’59年10月号の宣伝に使用されている画像の車両は早くもこの形態になっています。

 ‘60年の中期、またまたPリストの記載によると010511番あたりから92ファンには最も馴染み深いタコ回転取り出し型のヘッド/ヘッドカバーとなります。ちなみに先に記載した板バネクランプのためのねじ固定箇所、用は無くとも最終型まで鋳型にその形態を残します。右側ヘッド頂部、フィニングの厚いままの箇所に注目ください。

サンプルを画像で示します。右から左への変化です。

2004.07.31 K
2010.01.04K
2021・08・28 高画質画像に差替


 次回は「3ボルトハンドルクランプ


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